「飛ばなくていい」から始めるジャンプ「YANS式・誰でもできるジャンプのスクール」レポート

Riding School
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2025年9月21日(日)、「YANS式・誰でもできるジャンプのスクール」を実施しました。

今回は、MTBショップ人力車さんからのご依頼での開催です。
グランドオープン日を控えた人力車マウンテンバイクパークのPRも兼ねて、「MTBの新規ユーザーをもっと増やしたい」そんな店主の想いから、初心者向けイベントを開催したいとのご相談をいただきました。

ただ、パークの現状(借地の条件や予算の制約上)、ジャンプコースが常設されているわけでもなく、いわゆる“それっぽい”目に見えるコース(パンプトラックなど)があるわけでもありません。

そのため、「逆に初心者にはハードルが高いのでは?」「そもそも、何をどう楽しめばいいのか分かりにくいのでは?」という点が、最初の課題として挙がりました。

実際にその検証として、
「アソベルライド」というライドスタイルの実地検証も行っています。

さらにもう一つ、現実的な課題もあります。
「ショップでのパークは、他ショップで始めた人には少し行きづらい」という心理が働きやすい点です。

パークの入口がショップのお客様になる以上、すでに他店でMTBを始めた初心者の方を集客するのは、簡単ではありません。

こうした背景を踏まえた上で今回は、既存のお客様向けに、あえて平坦なエリアにジャンプ台を設置し、スピードや高さを求めない、基礎から学べるジャンプスクールという形で実施しました。

一般的なジャンプコース(土の形状)は、バックサイド(着地面)が固定化されてしまい、そこに合わせる難易度が高くなるというデメリットもあります。

今回はそうした点も考慮し、パークアイテムとしての可能性を探る提案も兼ねた、試験的な取り組みでもありました。

ジャンプは、特別な人のための技術ではありません。
考え方を最適化し、安全な環境を整えれば、誰でも一歩ずつ体験できるものです。

今回のスクールは、「ジャンプができるようになる」こと以上に、マウンテンバイクパークを安心して楽しむための入口になることを大切にしました。

誰でもできるジャンプ台のセットは「環境を整える」要素

市販のジャンプ台の後ろに、特製の着地面(バックサイド)を設置しました。

ジャンプの練習は、実はとてもシンプルです。
平坦な場所にジャンプ台を置くだけでも、基本的な動きは十分に学ぶことができます。

ただし、ジャンプ台の高さをそのまま使うと、初心者の方にとっては「飛べるかどうか」よりも、「怖い」という気持ちが先に立ってしまいがちです。

そこで今回は、お店で用意できる市販のジャンプ台が大きすぎるので、市販のジャンプ台の高さに合わせて、やさしい角度の着地面(バックサイド)を新たに用意していただきました。

市販のジャンプ台に対して、着地のイメージが最初から見えることで恐怖心が大きく減り、安心して“ジャンプの感覚”に集中できるセットになります。

「ジャンプは怖いもの」ではなく、環境を整えれば、誰でも体験できる動き
まず落ち着いて取り組める環境をつくることも、YANS式ジャンプスクールの大切なポイントです。

そして、誰からも文句を言われることのないマウンテンバイクパークという場所で取り組めること自体が、ライダーが安心して集中できる環境の成立につながります。

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助走の距離と速度は、ジャンプを安全にする大事な基本

スタート地点にマーカーを設置し、助走距離を明確にします。

ジャンプは、勢いさえあれば、誰でも簡単に飛べてしまいます。

でもそれは同時に、スピードをコントロールできていなくても飛べてしまうということでもあります。
この「なんとなく飛べてしまう」状態が、失敗やケガにつながりやすいポイントです。

そこでYANS式では、ジャンプ台そのものよりも、助走を大切にします
助走の距離を決め、速度を把握することで、「飛ぶ・飛ばない」を自分で選べる状態をつくります。

今回はスタート地点にマーカーを設置し、毎回同じ助走・同じスピードで進入できるようにしました。
これにより、参加者は恐怖心に振り回されることなく、落ち着いてジャンプの動作に集中することができます。

ジャンプを安全にする一番の近道は、無理に飛ばないこと
そのための基本が、助走と速度のコントロールです。

Amazon.co.jp: マーカーコーン
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まずは「ロール」から、環境に自分自身を馴染ませていく

ゆっくりの助走から、ジャンプ台をなめるように通過する「ロール」練習(あえて浮かない速度で)。

まずは助走距離を制限し、ジャンプ台で物理的に飛ばない(浮かない)速度で通過してもらいます。

ジャンプ台をなめるように越えていくこの動作を、「ロール」と呼んでいます。
浮かない状態でロールを繰り返すことで、ジャンプ特有の路面形状や角度に、カラダを少しずつ慣れさせていくことが目的です。

この段階では、「どう飛ぶか」を考える必要はありません。
むしろ、頭で理解しようとするよりも、カラダに先に覚えさせることを大切にします。

ジャンプ練習というと「まず飛ばなきゃ」と思いがちですが、浮かないジャンプも、立派なジャンプ練習です。
このプロセスを踏むことで、次のステップがぐっと安全で、楽しいものになります。

「ロール」の限界は、「ジャンプの始まり」です。

前輪だけ浮く状態は「ジャンプの始まり」――「前輪ジャンプ」

助走をコントロールしながら、徐々に速度を上げ、前輪が自然に浮く状態。

ジャンプというと、「両輪が空中に浮いてこそジャンプ」と思い込んでしまいがちですが、YANS式ではそう考えません。

まずは、前輪だけでも浮いていればOK
この状態を「前輪ジャンプ」と定義し、ジャンプの始まりを“成功体験”として感じてもらうことを大切にしています。

小さくステップを刻むことで、参加者は無理なく、自信を持って次の段階へ進むことができます。

ジャンプでよく起きる失敗は、適正な速度ではないのに、「飛ぼう」と無理に動いてしまうこと。
その結果、動きが崩れ、トラブルにつながります。

そこでまず目指すのは、前輪が自然と浮く状態
飛ぼうとするのではなく、助走の質を高めることで、結果として前輪が浮いてくる——この感覚を身につけていきます。

主観を客観で擦り合わせる作業 ― タブレットで見返す

自分の動作をタブレットで確認し、イメージと実際の動きを擦り合わせていく。

自分が行っている動作と、「こう動いているはず」と思っているイメージ。
この2つには、ほとんどの場合ズレがあります。

そこで今回は、タブレットを使って動作を撮影し、その場で見返すことを繰り返しました。
映像で確認することで、主観的なイメージと、実際に起きている事実とのギャップを、少しずつ埋めていきます。

ジャンプに限らず、多くのライダーがうまくいかない原因は、この「ズレ」に気づかないまま練習を続けてしまうことにあります。

ジャンプは動きがシンプルな分、このズレを発見しやすく、修正もしやすい。
だからこそ、ジャンプという単体の練習が、普段のライド全体を磨くことにつながるのです。

『やっていること』と『やっている「つもり」』は違う。
タブレットには、真実が写っています。

「後輪感覚」を磨く

視界に入らない後輪の接地点を、感覚で“可視化”していく練習。

ジャンプ練習でよく見られるのが、無意識に「ホッピング」を入れてしまっている状態です。

ホップそのものが悪いわけではありません。
今後のジャンプで、ステップアップしていく中では、必要になる動きでもあります。
ただし、最初の段階ではノーホップが基本です。

まず大切なのは、ジャンプ台の面を、余計な動きを入れずに通過すること。
そのために必要になるのが、後輪の感覚です。

ライド中、目に見える前輪とは違い、後輪は視界に入らない分、「今、どこに接地しているのか」が分かりにくい部分。
ジャンプ面の最後まで、後輪がしっかり接地していることを感覚で感じ取れるようになることで、動きは一気に安定します。

飛ぼうとしない。
跳ねようとしない。
後輪の接地点を感じながら、面を使う。
この感覚が身につくと、ジャンプは自然な流れの中で起きるようになります。

安全に取り組める基本を理解すれば、あとは轍を濃くしていく

同じラインを繰り返し通過することで、ジャンプ台に一本の轍が刻まれていく。

一通り、安全に取り組める仕組みを理解できたら、あとはシンプルに、回数を重ねていくだけです。

最適化したやり方で積み重ねた回数は、ただの「数」ではなく、確かな質になります。

ジャンプ台に、少しずつ一本の轍が刻まれていく様子は、上達が目に見えるサインでもあり、練習のやりがいにもなります。

この頃になると、「怖さ」や「考えすぎ」が消えて、楽しさだけで乗れている状態に入っていきます。
いわゆる“ゾーン”に近い感覚です。

ジャンプ練習において、この環境をつくることこそが、実は一番大切なポイント。
安全が担保されているからこそ、ライダーは安心して、深くライディングに没頭できます。

ジャンプの動作うんぬんの前に「環境を整える」が大切です。

「環境を整える」が理解できれば、あとは自動的

自分が望み思い描く「理想の環境」は、待っていても整わないので、「今あるモノやコトでも環境を整えていく力」を磨くといいよね。

っていう一例としてのスクールでもあります。
マウンテンバイクは、考えるコトもたのしい遊びですね。

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ジャンプは、頭で飛ぶ

ジャンプ台のメリットは「動かせる」こと。距離や条件を計算しながら、安全に調整できる。

ジャンプは、物理的に見ればそれほど難しいものではありません。
勢いさえあれば、簡単に飛べてしまいます。

ただし、勢い任せのジャンプには、必ずリスクも一緒に乗ってきます。

ジャンプは、計算して飛べるようになることで、安全を自分でコントロールできるようになります。
速度、助走距離、ジャンプ台の形状——これらを理解することで、「飛ぶ・飛ばない」を選べる状態になります。

とはいえ、頭で考えすぎると、今度はメンタルにブレーキがかかってしまう。
逆に、何も考えずにカラダ任せで飛んでいると、リスクの分、いつか大きなミスにつながります。

だから大切なのは、考えて乗ること。考えて飛ぶこと。

頭を使ってジャンプを楽しめるようになると、無理がなくなり、結果としてより長く、マウンテンバイクを楽しめるようになります。

もし過去にジャンプで痛い思いをしたことがあるなら、それは「センスがない」からではありません。
一度、ジャンプとの向き合い方を、考え直すタイミングなのかもしれません。

そして、それは順番であり、練習のプロセスです。
「頭を使うこと」を意識して、それを繰り返すことで無意識化していきます。
結果的には、考えなくてもそれができるようにします。

ジャンプ台をDIYしてみよう

ジャンプ台は、きれいなアール形状でなくても、十分に機能します。

ジャンプ台というと、立派な形状や専用の施設を想像しがちですが、実はシンプルなスロープ形状だけでも、ジャンプ練習は成立します。

遠くまで時間をかけてジャンプパークへ行かなくても、身近な環境の中で、ジャンプは日常的に練習できます。

しかもそれは、「練習」というより、遊びとして自然に成立するのがポイント。
構えずに繰り返すことで、カラダは勝手に感覚を蓄積していきます。

スキルアップの基本は、一回の完成度よりも、「浮いている時間」の総量
安全な条件で、小さく、たくさん浮くことが、確実な上達につながります。

ジャンプ台をつくってみよう。
ジャンプを、特別なものから、日常の楽しみへ。

おすすめの組み合わせ

高さの違うスロープジャンプ台を2つDIYし、組み合わせて使用。

DIYでつくるジャンプ台は、高さ違いの2つがおすすめです。
今回の例では、高さ50cmと40cmの組み合わせ。

この高低差があることで、特別にジャンプしようとしなくても、タイヤが自然と浮く時間をつくることができます。

2つのジャンプ台を「ロール」で通過するだけでも、実質的にはジャンプしている状態。
無理なく繰り返すことで、空中にいる時間の総量を安全に積み重ねていけます。

浮くことに慣れてきたら、ジャンプ台同士の距離を少しずつ離していくなど、難易度を段階的に拡張することも可能です。

ジャンプは、一気に大きく飛ぶ必要はありません。
小さく、確実に、積み重ねていくことで、自然と次のステップが見えてきます。

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