2025年9月14日(日)、人力車マウンテンバイクパークにて「アソベルライド あそべる会」を実施しました。
今回は、整備中のエリアが「すでにあそべる地形になってきている」と感じたことをきっかけに、完成を待たず、まずは実際に使ってみるという判断での開催でした。
少人数・短時間ではありますが、アソベルライドという考え方を、机上ではなく現場で確かめることを目的とした会です。
あそべる地形は、完成前から語りはじめる

当日は晴天。前日までの雨で路面はややしっとり。
結果的に、走りやすく、地形の反応も分かりやすいコンディションでした。
参加者は、いわゆる「乗れる」人が中心。関係者の方に集まってもらいました。
自然と、それぞれのレベルでアソベルライドが始まり、高めの遊びが展開されていきました。
一方で、初心者にとっては心理的に入りにくい空気が生まれやすいことも、改めて確認できました。
このあたりは今後、レベルに応じたアソベルライドのシーンづくりが必要だと感じています。
ガイドの役割は「教える」より「翻訳する」

今回の「あそべる会」はイベント形式のため、ガイドがついていますが、アソベルライドそのものは、ガイド付きが前提ではありません。
この日のガイドの役割は、「正解を教えること」ではなく、どこが、なぜ“あそべる”のかを言葉にすることでした。
地形、バイク、スキル。
それらを評価するのではなく、「今の自分にとって、あそべるか、あそべんか」という視点に翻訳する。
それだけで、見え方がずいぶん変わります。
印象的だったシーン①|親子で成立したアソベルライド

自転車に乗れない子どもでも、アソベルライドは成立しました。
サイズの問題は、ペダルを外し、サドルを持って操作することで解決。
ステアリング制御の原理を親御さんに伝え、親子で「あそべる」時間を共有してもらいました。
結果として、子ども用バイクの成約にもつながりましたが、それ以上に、「遊びとして成立すること」が、いちばんの価値だったと感じています。
印象的だったシーン②|一番ハマったのは新規ユーザー

今回、一番アソベルライドをしていたのは、新規参加の新人くんでした。
白いシャツが泥だらけになるほど、地形に没頭。
この「アソベルライド」という新しい言葉と考え方が、新規ユーザーの感覚に強く刺さったことは、大きな発見でした。
同時に、スペックと実際の体験とのギャップ。
なぜ「スペックだけでは伝わらないのか」という点も、現場で実感してもらえたように思います。
印象操作とブースレイアウトの検証

試乗車エリアでは、参加者が「見る・触る・話しかける」までの心理的ハードルを下げることを意識したレイアウトを実施。
接客はスムーズで、ブランディングとしても一定の効果を感じました。
一方で、バナーの有無や環境演出など、改善点も明確になりました。
購買意欲には、こうした要素も確実に影響します。
「あそべる」という視点を、これからも育てたい

道を区切るということは、それをトレースするしか選択肢が狭くなる。
でも、自分の中で遊べると思えば、そこが道になる。参加してくれた人数だけアソベルライドが楽しめていました。そして遊び疲れるまで乗りました。
今回の「あそべる会」を通して、「あそべる」をキーワードにしたライドスタイルが成立するという手応えを、関係者全員が共有できたと感じています。
「あそべる/あそべん」は、良し悪しの評価ではありません。
今の自分にとって、遊びに使えるかどうか。
その視点を持つだけで、マウンテンバイクは、もう少し分かりやすく、そして、もっと自由になる気がしています。
この感触は、まだ始まったばかり。
今後も現場で確かめながら、アソベルライドという遊び方を育てていきたいと思います。
限られた条件下におけるマウンテンバイクパークの可能性

今回の取り組みは、十分な予算や自由な造成条件が整った環境で行われたものではありません。
人力車マウンテンバイクパークは、予算0円に近い運営条件、借地という制約の中で、地形を大きく変えることもできない状況での実施でした。
それでも、今回の「あそべる会」を通して感じたのは、マウンテンバイクパークは、完成度や設備の多さだけで価値が決まるものではないということです。
「パークが存在する」
その事実そのものに、本来の価値がある。
地形をどう使うか、どこを「あそべる」と捉えるかは、運営側やライダーの視点次第で大きく変わります。
限られた条件の中でも、遊び方次第で、マウンテンバイクは成立する。
そして、その積み重ねが、次の可能性につながっていく。
今回の実施は、
予算がないなりに取り組める現実的な一例として、今後のマウンテンバイクパーク運営やライドスタイルを考える上で、ひとつの参考になればと考えています。
ミニマルな戦略としての「始め方」

今回の取り組みは、ショップとしてのひとつのミニマルな戦略でもあります。
日本では、
ルールや前例が重視されやすく、
土地・予算・人手の制約も強い。
「ちゃんとした形」でないと始めにくい空気が、今も根強くあります。
その中で、最初から完成形や理想形を目指してしまうと、
そもそもスタートラインに立てなくなるケースも少なくありません。
だからこそ今回は、
- 設備は最低限
- 予算はかけない(かけられない前提)
- 人も少人数
- できることだけを、できる範囲で
という、ミニマルな形を選びました。
この形だからこそ、「動き出せる」という現実があります。
そして重要なのは、
ミニマル=妥協ではないという点です。
むしろ、
- 本質だけが残る
- 説明がシンプルになる
- 真似や横展開がしやすい
- 文化として根づきやすい
日本のフィールドでは、
この「小さく始めて、存在を認知させる」こと自体が価値になります。
つまり、
「理想を下げる」のではなく、
「始めるために、構造を削ぎ落とす」という戦略。
完成度より、存在感。
まず「ある」ことに意味がある。
今回の実施は、
そんな考え方が、マウンテンバイクパーク運営やライド文化においても
十分に成立することを示す、一つの事例になったと感じています。








